認知症が進んでくると徘徊がはじまる人がいる。
認知症の進行により、1人で外出して家に帰れない人がいます。
近所で見つかる人もいれば、遠く離れた場所で保護されている場合もあります。
認知症の方は、見た目では分からない人も多いのですが、あきらかに様子がおかしい人を見かけたら、皆さんはどうしますか?
私のように長く介護にたずさわっていても、なかなか声をかけることはできません。
精神疾患のある人が事件をおこしたとニュースで耳にすることもあるので、むやみに声をかけるのは怖いと思う人もいるでしょう。
でも、徘徊している高齢者はものすごく困っているかもしれません。
そんな時には、自分で保護しなくてもいいので、警察に一報入れましょう。
認知症のある三郎さん(仮名)76歳
三郎さんは会社を経営し、地域でも役員をしていて人望のある方です。
会社を息子さんに譲った頃より認知症の症状が出始めました。
約束を忘れたりするようになり、地域活動にも参加しなくなると、さらに認知症の症状が進んできました。
三郎さんの奥さんも目が離せません。
ある日のこと。
三郎さんは、奥さんが昼寝をしている間に自転車に乗って出かけてしまいました。
見た目はきちんとした身なりをしているし、誰もが「普通に自転車に乗っているおじさん」にしか見えないでしょう。
しかし、自分の家の住所も言えない三郎さん。
その夜は帰ってきませんでした。
そして2日後、隣県の警察署で保護されていることが分かりました。
通報時、靴は片方なくして歩いていました。
この靴を片方はいていないという状況を見て、
「あれ?おかしいな。」
と思って警察に通報してくれた人のおかげで、三郎さんは保護してもらうことができました。
全国には認知症が進んで自宅からいなくなり、見つかっていない高齢者の方がたくさんいます。
三郎さんは、今は認知症になってしまったけれど、家族からみたらこれまで一生懸命働いて地域にも貢献してきた、とても大切なお父さんです。
もし見つからなかったら、家族は後悔してもしきれません。
自分を責める事でしょう。
家に帰ってくることができて良かったですね、三郎さん。