認知症が進むと、見えないものが見えることがある。
認知症とは、一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態を指します。
日本では「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」が３大認知症と言われており、中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。
「アルツハイマー型認知症」は、脳の中にアミロイドβというたんぱく質がたまり、正常な脳の神経細胞を壊して脳を萎縮させる病気です。
「レビー小体型認知症」は、特異なたんぱく質が神経細胞にたまり、レビー小体ができることが原因となって、運動機能が障害されたり、認知機能が変動したりします。
初期の頃は、認知機能が保たれていることが多いですが、「レビー小体型認知症」の方は実際に見えないものが見えることがあります。
幻視と呼ばれます。
「手の平を虫が這っている。」「そこに赤ちゃんがいる。」「知らない男の人がこっちを見ている。」「ゴミが捨ててある。」
そのようなことを言い出したら、「レビー小体型認知症」を疑ってもいいと思います。
「アルツハイマー型認知症」の診断を受けている人でも、見えないものが見えることがあります。
「そこに人がたくさん集まっている。」「子供たちが遊んでいてうるさい。」
そばにいる家族は、不気味に感じますよね。
実際には誰もいないわけですから・・・
夜勤の時に、利用者さんからそのようなことを言われると、背筋がぞっとすることがあります。
だって私には見えないもの。
しかし、利用者さんには見えるので、真剣に訴えてきます。
「ほら、そこで赤ちゃんが泣いているでしょう。」と・・・
深夜だし怖いけど、介護のプロだから上手に答えてあげるのが正解です。
「今から赤ちゃんにミルクをあげるところよ～」
在宅介護では、泥棒が見えてしまうこともあるのでやっかいです。
「部屋に泥棒がいる。警察に電話して！」
と言われたら、警察に電話をするふりをして、安心してもらいましょう。
そのうち、泥棒が見えなくなるのを祈りながら・・・
