身体拘束とは。
高齢者への身体拘束とは、施設や病院などで、認知症などの高齢者を「治療の妨げになる。」または、「転倒などの事故の危険がある。」という理由でベットにひもや抑制帯で縛ることを言います。
病院では家族の同意を得て、身体拘束をしている場面をよく見かけます。
ベットに腰ベルトで拘束されている人。
ベットで両手にミトンを付けられている人。
ベットの柵に両手を縛られている人。
ベットから出られないように柵で囲われている人。
認知症のため、自分で点滴を抜いてしまったり、安静を保てないので、治療中は仕方なく身体拘束をしています。
中には、自分で身体拘束をうまくといて、病院内を徘徊している高齢者の方もいます。
介護施設では身体拘束をしてはいけない。
入院中、身体拘束をされていた高齢者が、退院後に介護施設に入所してくることがあります。
身体拘束から解放。
やっと自由だ~
とご本人が思っているかどうかは分かりませんが、介護職員は大変です。
入院中下肢筋力が弱り、歩行できない転倒のリスクの高い利用者さん。
介護施設では身体拘束をしませんから、転倒させないように目が離せません。
退院後に介護施設に入所してきた一郎さん(仮名)85歳。
退院当日は、病院から施設に移動してきたばかりのためか、落ちつきのない一郎さん。
車イスから立ち上がり歩こうとします。
「危ないでしょ!!」「座ってー!!」
介護職員さんの金切り声が、施設のフロアー内に響き渡っていました。
入院中は車イスに腰ベルトで拘束され、自分では立ち上がれないようになっていました。
しかし、介護施設ではそんな拘束はしません。
一郎さんは、介護職員が他の利用者さんのお世話をしているときなど、ちょっとの時間に自分で立ち上がろうとします。
座っているように促すと、不機嫌に怒り出します。
自分で歩けるのであれば、自由に施設内を歩いていただいていいのですが、支えがなければ立つことのできない状況。
1人で歩きだせば、すぐに転倒することは予想ができます。
そんな一郎さんでも、2日目、3日目と日が経つごとに落ち着いて施設で生活できるようになりました。
車イスを自分で操作し、施設内を自由に動き回ることで、少しストレスが減ったようでした。
もちろん、転倒リスクは高いので、常に介護職員の見守りは必要な状況ですが・・・
認知症があっても、介護職員が正しいお世話をすることで、穏やかに生活できるようになるのです。