令和3年度の介護保険改定
介護保険制度は3年に1度見直しされ、内容が変更されます。
今回の改定で、ケアマネジメントの公平中立の確保を図る観点から、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、利用者さんに前6ケ月間に作成したケアプランの中で、訪問介護、通所介護(ディサービス)、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の4つのサービス事業所を、どこの事業所がどれくらいの割合で提供しているかを説明することが定められました。
ケアマネジャーは、「ディサービスはケアプランの中で〇〇%利用があります。」と全体の利用のうちディサービスはどれくらいの割合で利用しているかを説明した上で、各ディサービス事業所の利用割合を説明しなくてはいけません。
Aディサービス〇〇%
Bディサービス〇〇%
Cディサービス〇〇%
これを、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の4つの事業所について、
「利用者又はその家族に説明を行うに当たっては、理解が得られるよう、文書の交付に加えて口頭での説明を懇切丁寧に行うとともに、それを理解したことについて必ず利用者から署名を得なければならない。」
となりました。
同じ通所のサービスでも、ディケアは対象ではありません。
この4つの介護サービスを利用しない利用者さんに、利用割合を説明する必要が本当にあるのだろうか。
これまでも、この4つの事業所に関しては、居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)は同じ事業所に80%以上の利用があると、特定事業所集中減算として1ケ月利用者さん1人あたり200単位(およそ2,000円)が減算になっていました。
2,000円×利用者さんの人数分の収入が6ケ月減るので、ケアマネジャーの事業所としては、なんとしても特定事業所減算になるのを防ぎたい。
この減算は、ケアマネジャーが特定の事業所を利用者さんに利用させようとすることを防ぐためです。
実際に、ディサービスや訪問介護併設の居宅介護支援事業所は、系列の事業所を利用者さんに紹介する傾向にあるのは確かです。
しかし、今回の介護保険改定で、利用者さんにこの4つの事業所の利用割合を説明するということは、利用者さんからすれば、
「みんなが行っているディサービスに行きたい。」
「みんなが来てもらっているヘルパー事業所に来てもらいたい。」
と思うでしょうから、ケアマネジャーが紹介している事業所はさらに利用者が増えることは間違いないと思います。
私もみんなが行っている人気のあるディサービスに行きたいよ。
そうなりますよね~
平成27年度の介護保険改定時には、4つの事業所だけではなく、ほぼすべての事業所が特定事業所集中減算の対象になりました。
ケアマネジャーは他の事業所に利用者さんを移すなどして減算を防ぎました。
そして、3年後の平成30年度の介護保険改定で、特定事業所集中減算の対象が4つの事業所にもどるという内容に変更になったのです。
ころころ変わる介護保険の法律。
今回追加になった4つの事業所の紹介率の説明責任も、次回の介護保険改定でなくなると思うな。
お役人の考えていることは、本当に分からない・・・