民生委員の仕事とは
厚生労働省のホームページには、
「民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。」
と載っています。
民生委員法の第10条では、給与は支給されないと規定され、無報酬です。
民生委員は、とても重要な役割を担っているのに、「無給の名誉職」となっています。
無報酬ではありますが、民生委員個人に対し、交通費や通信費等として自治体から活動費が数万円交付されています。
任期は3年。
民生委員の守秘義務
民生委員法では守秘義務についても規定があります。
第15条では、「民生委員は、その職務を遂行するに当たっては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によって、差別又は優先的な取扱をすることなく、且つ、その処理は、実情に即して合理的にこれを行わなければならない。」
と定められています。
1人暮らしの高齢者や、高齢者夫婦の世帯では、民生委員の方はとても頼れる存在です。
では、無報酬で活動をしてくれている民生委員の方に、どこまで頼っていいのでしょうか。
1人暮らしの高齢者の家を見守っていただくことは多いですが、見守りだけでは済まない場合があります。
民生委員に高齢者が助けを求めることがありますが、話を聞いてもらいたいときもあります。
しかし、話し相手に何時間も付き合っていたとしたら、無報酬の民生委員も嫌になってしまいますね。
1人暮らしのフサエさん(仮名)86歳。
フサエさんは5年ほど前にご主人を亡くし、現在は1人暮らしです。
身の回りのことは自立しており、簡単な料理も自分で作ることができます。
同じ町内に娘さん家族が住んでいるので、買い物や受診など娘さんがお世話をしています。
しかし1人暮らしの寂しさから、近所の人や民生委員に、娘さんの愚痴や寂しい気持ちを泣きながら話すことが増えてきました。
心配した民生委員は、地域包括支援センターやケアマネジャーに連絡し、施設入所を勧めてきました。
「近所の人も迷惑しているし、施設に入所するように家族に話してください。」
「娘さん夫婦は研究所の職員で公務員だから、お金はたくさんもっているので、有料老人ホームに入れるでしょう。」
「フサエさんは、幻覚が見えるからレビー型の認知症でしょ。認知症だったら施設に入れるでしょう。」
と、ケアマネジャーに詰め寄ってきます。
フサエさんは認知症の診断は受けていないし、介護保険も要支援2で、ある程度自分のことはできています。
しかし、民生委員は月に2回ほど、フサエさんから長い話を聞かされ、耐えられなくなってしまったようでした。
民生委員は無給のボランティアなので、話し相手の強制はできませんが、地域包括ケアシステムをすすめている現代の日本で、民生委員が「面倒だから施設に入ってちょうだい。」と言うスタンスで地域活動するのは、だめだな~。
しかも、民生委員法15条に定められている秘密保持が守られていない。
この民生委員には民生委員なりの考えがあると思いますが、高齢者が安心して生活できる地域作りに協力してほしいな~
やっぱり、民生委員の仕事は大変なのに、国は奉仕活動の精神で無報酬にしているから本腰いれて地域活動できないのでしょうね。
もちろん、自分の時間を犠牲にして、地域住民のために尽くしている民生委員の方もたくさんいます。
本当に頭の下がる思いです。
これからますます高齢者が増え、民生委員の役割は大きなものになっていきます。
お国のエライ人たち、地域で高齢者を支えていくためには、民生委員は無報酬ではなく、公務員レベルの報酬を支払うべきだと思いますよ~。