高齢者虐待とは
高齢者の虐待は、「高齢者虐待防止法」で養護者(ご家族など)や養介護施設の従事者などによる、高齢者(65歳以上)に対する虐待と定義されています。
高齢者に対する虐待は、分かりやすいものでは身体的虐待があり、殴ったり蹴ったりした場合が虐待となります。
ただし、暴力だけが虐待ではなく、介護・世話の放棄(ネグレクト)も虐待になります。
その他、年金を取り上げて本人のために使わないなどの経済的虐待や、心理的虐待、性的虐待があります。
親を殴ってしまいそうになったら
元気だった親も、高齢になると、動きは遅くなるし言葉も出にくくなってきます。
年老いた親と一緒に住んでいると、イライラすることもあるでしょう。
しかし、絶対に殴ってはいけません。
殴ってしまうと、犯罪になります。
犯罪者にならないように、思いとどまりましょう。
親を殴ってしまったら
一人でかかえこまないようにしてください。
介護サービスを利用しているのであれば、ケアマネジャーに相談しましょう。
しばらくの間、ショートステイを利用して親と顔を合わせないようにするなど、ケアマネジャーが力になってくれます。
担当のケアマネジャーがいなければ、地域包括支援センターに電話をして相談しましょう。
イライラした気持ちは、自分一人ではおさえられるものではありません。
ほんとうに虐待なのか?
自分で転んだだけなのに、虐待されているのでないかと疑われることがある。
日ごろの家族の対応が悪いと、虐待していないのに、世間からそういう目で見られてしまうことがあります。
虐待疑い
高齢者の中には、家族に暴力を振るわれても、家族をかばって自分で転んだという人がいます。
本人、家族が認めなければ「虐待」は「虐待疑い」でしかないのです。
高齢者虐待を疑われて、措置入所となったハナさん(仮名)75歳。
ハナさんは息子さんと一緒に暮らしています。
下肢筋力が衰えてきて、毎日のように自宅で転倒しているようです。
ディサービスでお風呂に入るときには、毎回アザが増えているので、介護職員の人たちは心配していました。
ある日、目の周りがパンダのようになっていた。
ディサービス利用時、まるで殴られたように目の周りにアザができていました。
ハナさんは、自分で転んだと言っています。
担当のケアマネジャーは虐待を疑い、行政と警察に通報しました。
ハナさんは、そのまま自宅には帰らず、行政による措置入所となりました。
警察による事情聴取
警察官3人が、ハナさんが措置入所している介護施設に事情聴取にきました。
ハナさんは、警察官にも自分で転んだと話しています。
次に自宅で、息子さんの事情聴取が行われました。
突然、自宅に警察官がきたので、息子さんはびっくりしました。
息子さんも、絶対にお母さんのことを殴っていないと言っています。
息子さんは、措置入所している介護施設がどこの施設か教えてもらえない。
虐待疑いによる措置入所ですから、息子さんはハルさんがどこにお泊りしているのか、教えてもらうことはできません。
ケアマネジャーは虐待を疑ったけれど、もし本当に転んだだけだとしたら、息子さんも傷つきますね。
日ごろの息子さんの対応が虐待だと疑われた。
息子さんは仕事もありますから、自分の母親のことはあまり介護していませんでした。
いわゆるネグレクトです。
息子さんは、ディサービスの契約をしたり、お母さんに菓子パンを置いておくなどの、最低限のことはしていました。
しかし、担当のケアマネジャーからみれば、ネグレクトに感じたようです。
そのような、日ごろの態度が、虐待を疑われる要因になったようです。