介護に正解はないのだ

介護分野で勤務し23年。自宅で介護をしている方や介護職員のみなさんに、役に立つ情報を発信していきま~す。

高齢者に対する「虐待」と「虐待疑い」

高齢者虐待とは 

高齢者の虐待は、「高齢者虐待防止法」で養護者(ご家族など)や養介護施設の従事者などによる、高齢者(65歳以上)に対する虐待と定義されています。

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高齢者に対する虐待は、分かりやすいものでは身体的虐待があり、殴ったり蹴ったりした場合が虐待となります。

ただし、暴力だけが虐待ではなく、介護・世話の放棄(ネグレクト)も虐待になります。

その他、年金を取り上げて本人のために使わないなどの経済的虐待や、心理的虐待、性的虐待があります。

親を殴ってしまいそうになったら

元気だった親も、高齢になると、動きは遅くなるし言葉も出にくくなってきます。

年老いた親と一緒に住んでいると、イライラすることもあるでしょう。

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しかし、絶対に殴ってはいけません。

殴ってしまうと、犯罪になります。

犯罪者にならないように、思いとどまりましょう。

親を殴ってしまったら

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一人でかかえこまないようにしてください。

介護サービスを利用しているのであれば、ケアマネジャーに相談しましょう。

しばらくの間、ショートステイを利用して親と顔を合わせないようにするなど、ケアマネジャーが力になってくれます。

担当のケアマネジャーがいなければ、地域包括支援センターに電話をして相談しましょう。

イライラした気持ちは、自分一人ではおさえられるものではありません。

ほんとうに虐待なのか?

自分で転んだだけなのに、虐待されているのでないかと疑われることがある。

日ごろの家族の対応が悪いと、虐待していないのに、世間からそういう目で見られてしまうことがあります。

虐待疑い

高齢者の中には、家族に暴力を振るわれても、家族をかばって自分で転んだという人がいます。

本人、家族が認めなければ「虐待」は「虐待疑い」でしかないのです。

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高齢者虐待を疑われて、措置入所となったハナさん(仮名)75歳。

ハナさんは息子さんと一緒に暮らしています。

下肢筋力が衰えてきて、毎日のように自宅で転倒しているようです。

ディサービスでお風呂に入るときには、毎回アザが増えているので、介護職員の人たちは心配していました。

ある日、目の周りがパンダのようになっていた。

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ディサービス利用時、まるで殴られたように目の周りにアザができていました。

ハナさんは、自分で転んだと言っています。

担当のケアマネジャーは虐待を疑い、行政と警察に通報しました。

ハナさんは、そのまま自宅には帰らず、行政による措置入所となりました。

警察による事情聴取

警察官3人が、ハナさんが措置入所している介護施設に事情聴取にきました。

ハナさんは、警察官にも自分で転んだと話しています。

お巡りさんも一枚岩じゃない? ハッシュタグ「警察に言われたこと」に ...

次に自宅で、息子さんの事情聴取が行われました。

突然、自宅に警察官がきたので、息子さんはびっくりしました。

息子さんも、絶対にお母さんのことを殴っていないと言っています。

息子さんは、措置入所している介護施設がどこの施設か教えてもらえない。

虐待疑いによる措置入所ですから、息子さんはハルさんがどこにお泊りしているのか、教えてもらうことはできません。

ケアマネジャーは虐待を疑ったけれど、もし本当に転んだだけだとしたら、息子さんも傷つきますね。

日ごろの息子さんの対応が虐待だと疑われた。

息子さんは仕事もありますから、自分の母親のことはあまり介護していませんでした。

いわゆるネグレクトです。

息子さんは、ディサービスの契約をしたり、お母さんに菓子パンを置いておくなどの、最低限のことはしていました。

しかし、担当のケアマネジャーからみれば、ネグレクトに感じたようです。

そのような、日ごろの態度が、虐待を疑われる要因になったようです。