透析療法のための通院。
介護保険を利用している人の中には、透析の必要な方がいます。
腎臓は、余分な水分や毒素を適切に振り分けて体内を浄化する役割があります。
腎臓の働きが正常な時の10%以下になると、自分の腎臓で血液のろ過が十分にできず、体内に老廃物が蓄積していきます。
慢性腎不全になると、尿毒症という病気になり、倦怠感や食欲低下、嘔吐、頭痛といった症状が出現します。
心不全や肺水腫を起こし、息切れや呼吸困難なども出現しやすくなります。
このような状態を放置しておくと、命の危険にかかわってきます。
命をつないでいくために、人工的に血液の浄化をおこなうのが透析療法です。
透析治療が必要になると、週3回程度透析療法のできる病院に通い、何時間かベットに横になって透析を受ける必要があります。
自分で歩行できる人であれば、バスで通院したり家族が送迎したりして、通院することは可能です。
運転できる人であれば自分で運転して通院できるでしょう。
しかし、介護保険の認定を受けているくらいの高齢者などは、自分で歩行できない人も多いです。
そういう歩行困難な方が、週3回透析療法をするためには、どうやって病院に行けばいいのでしょうか。
①車イスの人でも送迎をしてくれる病院に通院する。
②NPO法人が運営する送迎サービスを利用する。
③介護保険の乗降介助のサービスを利用して通院する。
④介護タクシーを利用する。
⑤透析療法をしてくれる療養病床のある病院に入院する。
⑥施設に入所して、施設職員に病院まで送迎してもらう。
などの方法があります。
その中で、介護保険の乗降介護のサービスを利用して、透析のための通院をしている人がいます。
介護保険の乗降介護サービスとは、訪問介護事業所のヘルパーさんが車に利用者さんを乗せて、病院の送迎をするサービスです。
1割負担の利用者さんで、片道約100円。往復で約200円です。
訪問介護の事業所は、約2,000円の収入になります。
200円であれば、利用者さんの負担は少なくてすみますが、訪問介護の事業所は人件費や車の維持費、ガソリン代を計算すると、赤字になります。
そのため、この乗降介助サービスをやめてしまう事業所があり、なかなか週3回の透析のための通院介助を頼める事業所がないのが現状です。
乗降介助サービスを続けている事業所も、生き残るために介護保険の他、回送料やタクシー料金の名目で、追加料金を請求して収入を増やしているところが多いです。
透析療法の必要な利用者さんが、車イス生活になっても自宅で安心して生活できるように、自治体ごとに送迎サービスを取り組んでいく必要がありますね。