通報する勇気
もし、近所の高齢者が虐待を受けている事実を知ったら、あなたはどうしますか?
あきらかに虐待を受けていると思ったら、迷わず地域の市区町村の高齢福祉課か地域包括支援センターに通報しましょう。
通報した人の名前は伏せて、きちんと調査してくれます。
家族からの暴力などがひどく、緊急性のある場合には、施設に避難させることも可能です。
高齢者の虐待は、「高齢者虐待防止法」で養護者(ご家族など)や養介護施設の従事者などによる、高齢者(65歳以上)に対する虐待と定義しています。
虐待を受けている高齢者の中には、認知症や寝たきりなどのためにSOSサインを出せない、または出さない方もいます。また、ご家族に虐待しているという自覚がない場合もあります。
高齢者虐待の主な種類は、
・身体的虐待
・介護・世話の放棄(ネグレクト)
・経済的虐待
・心理的虐待
・性的虐待
があります。
住宅型有料老人ホームに入居中のレイ子さん(仮名)82歳。
レイ子さんは、施設の管理者である男性施設長からいじめられていると言うのです。
施設内のスタッフに事実確認をすると、部屋のドアを大きな音をたてて閉める、食事のトレーをテーブルに叩きつけるように置くなど、あきらかに他の利用者に対する態度とは違うという声が聞こえてきました。
さっそく、地域包括支援センターに報告しました。
後日、地域包括支援センターの担当者から報告がきました。
「住宅型有料老人ホームは都道府県の管轄で、県にはその施設の苦情が何件も寄せられている。しかし、職員不足が問題となっており、今その問題を大きくすると介護に従事するスタッフがいなくなってしまう心配がある。しばらくは、何もできない。」との事でした。
この国は、弱い高齢者のことは誰が守ってくれるのかねぇ。
たしかに、レイ子さんの場合は暴力などがあったわけではないので、緊急性はないかもしれません。
でも、心理的虐待であったことは間違いないのです。
しばらくして、レイ子さんは娘さんが他の施設をさがし、転居していかれました。