老健とはどのような人が入所できるのか?
介護保険の認定を受けている要介護1~要介護5までの方で、状態が安定している人が在宅復帰できるよう、リハビリテーションや介護を提供する施設です。
よく、特養(特別養護老人ホーム)とどう違うの?と聞かれますが、特養は常時介護が必要で自宅での生活が困難な人が、亡くなるまで入所できる施設であるのに対し、老健(介護老人保健施設)は自宅復帰を目的としており、ある程度の期間しか入所できません。
骨折や脳出血などで入院した患者さんが、退院後に自宅での生活が不安な場合に、老健でリハビリを継続してから自宅へ帰るというような場合や、夏の暑い間だけ、冬の寒い間だけリハビリを兼ねて入所する人もいます。
老健は原則3ケ月から6ケ月程度の入所期間と言われていますが、思うようにリハビリが進まなかったり、自宅の環境が整わないなどの理由で入所期間が延びる場合もあります。
また、認知症棟のある老健は長期間、認知症の利用者を受け入れているところもあります。
老健によっては、看取りまで実施して退所しなくてもよいところがあるので、入所の相談の時に確認しましょう。
入所して3ケ月の間は、個別に集中的にリハビリを受けることができます。入院中に比べればリハビリの時間は少なく感じると思いますが・・・
老健には医師が常駐しており、夜間も看護師がいるので安心ですね。
老健を退所する際には、事前に老健のリハビリのプロである理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が、自宅で安全に生活できるか、家の中を評価してくれます。
「トイレのここに手すりがあったほうがいい。」
「お風呂の段差の解消はこうした方がいい。」
など、プロの目線で助言してくれますから、自宅に帰ってからも安心ですね。
脳出血の後遺症で入院後、老健でリハビリをしていた清さん(仮名)、72歳。
清さんは、杖をついて自力で歩行できるようになったため、自宅へ帰ることになりました。
事前に自宅へ外出を試み、今までリハビリを担当していた佐藤PT(仮名)が一緒に来て自宅を評価してくれました。
まず、玄関の上りかまちです。高さは30cmほどあるものの手すりがあれば清さんは一人で上り下りできそうです。
自宅内の移動は杖を使ってできます。
トイレはⅬ字型の手すりを取り付ければ、一人でできそうなことが分かりました。
お風呂は、介助がなければ浴槽に入るのは難しそうです。
以上のことから、玄関とトイレに手すりを設置してから老健を退所することに決まりました。
お風呂はディサービスを利用して入ることになりました。
外出して理学療法士(PT)と一緒に自宅の手すりの取り付け位置を確認したことで、清さんは自宅での生活のイメージができたようです。
清さんの奥さんも安心し、手すりの取り付けが終わった後に、清さんは老健を退所し奥さんと一緒に自宅で生活しています。
良かったですね、清さん。