介護に正解はないのだ

介護分野で勤務し23年。自宅で介護をしている方や介護職員のみなさんに、役に立つ情報を発信していきま~す。

介護保険で買えるもの

介護保険では福祉用具を購入できるか

介護保険福祉用具は、レンタル出来るものと購入できるものがあります。

購入できるものは、

①腰掛け便座

②自動排泄処理装置の交換可能部分

③入浴補助用具

④簡易浴槽

⑤移動用リフトのつり具です。

都道府県の指定を受けた事業所から購入したときに、介護保険が利用できます。

1年間に10万円を上限に、購入費の利用者負担分(1割負担、2割負担、3割負担)を除いた分が、市区町村から支給されます。

この場合の1年間とは4/1~3/31までをいいます。

ポイント! 都道府県の指定を受けていないお店で購入すると、支給されないので注意してください。

注)最近はホームセンターや薬局にも福祉用具が販売されていますね。

介護保険対象の購入品についてはレンタルすることはできません。

①腰掛け便座とはポータブルトイレの事です。

最近は家具調のものなど、部屋に置いてあっても違和感のない商品もあります。

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例えば介護保険の自己負担が1割負担の人が、25,000円のポータブルトイレを購入した場合は、いったん25,000円を福祉用具事業所に支払い、領収証を添えて市区町村に申請することで、22,500円が戻ってきます。実質、2,500円でポータブルトイレが購入できることになりますね。

ただし、申請しなければ支給はされません。

ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が申請を代行してくれると思いますが、確認しましょう。

②自動排泄処理装置は本体についてはレンタルとなりますが、尿吸引パットは消耗品なので購入となります。

しかし、この自動的に尿を吸引する装置はあまり使っている人はいませんねぇ。

③入浴補助用具は、たくさんあります。

主なものは、シャワーチェアーや浴槽台、入浴グリップ、バスボード、段差解消のための浴室すのこです。

滑り止めマットは介護保険の対象とはなりません。

シャワーチェアーは折りたためるもの、ひじ掛け付き・ひじ掛けなしなど様々なタイプのものがあります。

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福祉用具専門相談員とよく相談して、生活環境や自分の体に合ったものを選びましょう。

④簡易浴槽は実際に自宅で使っている人は見たことがありませんね。

⑤移動用リフトの本体についてはレンタルとなりますが、つり具の部分は購入となります。移動用リフトはベットから車イスへの移乗時など、介護者の負担を大きく軽減することができますが、設置にはある程度のスペースが必要になります。

浴室で使用する移動用リフトもあります。

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下半身麻痺があり自力では立つことのできない四郎さん(仮名)86歳。

四郎さんは、ディサービスでも週2日、シャワーで洗身の介助してもらっていますが、自宅でも息子さんが仕事が休みの日に洗身をしてくれると言っています。

車イスからシャワーチェアへの移乗は困難なので、シャワーキャリーの購入を検討することになりました。

自宅の浴室の広さを考えると、小回りのできるシャワーキャリーであれば利用できそうです。

早速、都道府県の指定を受けている福祉用具事業所の方に、お試しでシャワーキャリーのデモ品を持ってきてもらいました。

息子さんが休みの土曜日の晩に、自宅でシャワーキャリーを利用して洗身することに成功。

購入することを決めました。

お値段、約10万円。

介護保険で1年間に使える福祉用具の購入金額上限ぎりぎりでした。

後日、領収証を添えて市役所へ申請。

1ケ月後に9万円が四郎さんの口座に振り込まれました。

 

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四郎さんは、実質1万円でシャワーキャリーを購入でき、自宅で定期的にシャワーを浴びることができるようになったのです。良かったですね、四郎さん。