介護に正解はないのだ

介護分野で勤務し20年。自宅で介護をしている方や介護職員のみなさんに、役に立つ情報を発信していきま~す。

認定調査はどうやって行われるのか

認定調査とは

介護保険を利用するには、市区町村に申請をしてから認定調査を受ける必要があります。

申請を受けた市区町村では、市の職員または市から委託を受けた訪問調査員が、自宅や病院、施設などへ伺って調査することになります。

調査項目は全国統一になっており、日常生活の自立度など心身の状況を調べるとともに、家族や介護職員・看護師などから聞き取った内容を記録します。

申請書に主治医の記載欄があり、主治医が申請者の心身の状況を「主治医意見書」に記載します。

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一次判定では訪問調査の結果と主治医意見書の内容の一部をコンピューターに入力、分析し、どの程度介護の手間が必要かを示す「要支援・要介護度」を導き出します。

二次判定では、介護認定の審査判定を行う機関として「介護審査会」が開かれます。

この審査会は、保健・医療・福祉の専門家で構成されています。

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一次判定の結果や、調査員の聞き取った特記事項と主治医意見書をもとに、二次判定を行い要介護状態なのか、要支援状態なのか、もしくは非該当であるのかが決定されます。

介護保険証の有効期間も二次判定で決定されます。

この審査会で決まる「要支援・要介護・非該当」の結果ですが、やはり認定調査の結果が大きく反映されていると思います。

1次判定で入力されちゃう訳ですから・・・

認定調査の項目は全国一律で、解釈も同じはずですが、調査員の感じ方・とらえ方でまったく結果が違ってしまう場合があります。

どうみても要支援1くらいだろうという人が要介護3だったり・・・

特に入院中の認定調査は、日常生活のすべてにおいて介助を受けている場合が多いですから、通常よりも重い結果となる場合が多いです。

審査会の結果によって、利用できる介護保険の限度額が違ってきたり、特養(特別養護老人ホーム)への入所ができるかできないかということになってきますから、認定調査はとても重要です。

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大腿骨を骨折して入院していたみち子さん(仮名)75歳。

みち子さんは、骨折の治療が終わり退院の目途がつきましたので、介護保険を申請し入院中に認定調査が行われました。

病棟ではトイレ介助や服薬管理を看護師が介助しています。また入院中にせん妄状態もみられていました。

結果、「要介護4」と認定結果がでました。

その後、特養(特別養護老人ホーム)への入所が決まり、みち子さんも安心して特養で生活を始めました。 

特養では歩行器を使用して自力で移動できるまでに回復し、トイレも自立。

ユニット型の特養の中で友達もできて楽しく過ごしていました。

特養へ入所して1年が過ぎようとした頃、介護保険の更新結果が届きました。

結果は「要介護2」

あれ?特養って要介護3以上の重い人しか入れなかったはず。

そうです。元気になって要介護2と判定されたみち子さんは、友達もできて終の棲家だと思っていた特養を退所しなくてはいけなくなりました。

たまたま入所していた特養の系列のサ高住が空いていたので、今はそこで暮らしていますが、介護度の結果によって生活が大きく変わってしまったのです。

もちろん、月々の支払いも負担が大きくなってしまいました。

そして、仲良くなった友達ともお別れすることになってしまったのです。