エンゼルケアとは。
エンゼルケアとは人が亡くなったあとに清拭、着替え、化粧などをする死後の処置のことを言います。
医療器具を外した後の手当ても行います。
エンゼルケアは、故人の尊厳を守るためでもありますが、遺族のケアのためにも大切です。
キレイな姿で送り出すことは、遺族の心のケアにもつながります。
また、感染症を防ぐためにもエンゼルケアはとても重要となります。
病院で亡くなった場合は、看護師がエンゼルケアを行うこともありますが、葬儀社を通して業者が行う場合も多いです。
病院で行われるエンゼルケアは、医療行為としてのケアが基本になります。
病院によっては、エンゼルケアを専門的に学び実施しているところもありますが、どのようなエンゼルケアを行うかは病院によって違います。
葬儀社のエンゼルケアは、髪を洗ってくれたり遺族に寄り添った形で行ってくれますが、料金が高いです。
10年程前に義父が亡くなった時には、病院では呼吸器を外すだけだったので、葬儀社に湯灌(ゆかん)をお願いして、自宅に戻ってからキレイにしてもらいました。
訪問入浴で使うような浴槽が運ばれ、亡くなった義父をお風呂に入れ髭を剃って白装束を着せてもらいました。
その時に葬儀社の方から「足袋をはくのを一緒にやりましょう。」と言われたのを思い出しました。
これは遺族に寄り添ってくれた言葉だったのでしょうね。
自宅で亡くなった明子さん(仮名)72歳。
明子さんは、自宅で長く闘病生活をされていました。
人工呼吸器を付けて5年。
ずっと自宅で生活していました。
ある日の午後。
ヘルパーさんの連絡を受けて、訪問看護師2人が自宅に到着。
その後、訪問診療の医師が到着して、死亡確認が行われました。
「午後2時、死亡を確認しました。」
医師により人工呼吸器と胃ろうが外されました。
訪問看護師がお腹に入った栄養剤を排出し、処置していきます。
訪問看護師が明子さんの長く伸びた髪の毛を丁寧に洗ってくれました。
「ヘルパーさんも一緒にやろうよ。いつも一緒にやってたんだから。」
と、訪問看護師の声掛けでヘルパーさんも明子さんの清拭を手伝いました。
毎日明子さんの介護をしてきたヘルパーさんの心も置いていかない訪問看護師のすばらしい対応に感激です。
「明子さん、腕を拭きますよ。」
「明子さん、こちらに体を向けますよ。」
まるで生きていた時と同じように声掛けをして体をキレイにしていきます。
便も排出します。
故人に尊厳をもった対応をしながら、てきばきとエンゼルケアを実施していく訪問看護師のお二人に、なんの役にもたたないケアマネジャーの私は頭が下がる思いです。
最後に明子さんが好きそうな洋服に着替え、お化粧をしました。
長い間、頑張ったね明子さん。
マル福のため医療費はかかりません。
しかし、訪問看護ステーションは「訪問看護ターミナルケア療養費1」が算定できるので、25,000円の収入増となります。
訪問看護ターミナルケア療養費1を算定するには、いくつか条件がありますので、すべての訪問看護ステーションの事業所が算定できるわけではありません。
明子さんは日曜日に亡くなくなりましたが、連絡を受けた訪問看護師はすぐに来てくれました。
自宅で看取る場合には、「日曜・祝日でも対応してくれてエンゼルケアをしてくれる。」訪問看護ステーションを選びましょう。