介護職員による暴力は本当にあるのか
「介護職員が利用者に暴力を振るった。」というニュースを見ると、考えさせられることがたくさんあります。
グループホームの早番勤務の時の事。
介護保険でのグループホームは認知症のある利用者さん9人がひとつ屋根の下で共同生活をしています。
朝の6時半、「おはようございま~す。」
いつものように玄関から入っていくと、ホールではただならぬ空気が流れていました。
男性の利用者さんのタツオさん(仮名)80歳と、夜勤の男性職員の小松さん(仮名)が台所のカウンターを挟んで睨み合っています。
タツオさんの手にはなぜか1mほどの長さのある太めの角材が握られています。
「俺は戦争で何人も人を殺しているんだ!!お前も殺してやる!!」
と意気込んでいます。
日頃は、こんな事ないのに・・・
職員の小松さんはなぜか猟銃のような長い鉄砲を構えるポーズをして、タツオさんを睨んでいます。
「やめて、やめてー」
と2人を止めようとしましたが、女の力ではムリ・・・
すぐに同じ敷地内にある系列の特養(特別養護老人ホーム)の男性職員を呼び、2人を止めてもらいました。
どうも、タツオさんは普段からこの男性職員のことが気に入らなかったようで、こういうチャンスを待っていたようでした。いつのまにか、角材を準備していたのですから・・
認知症があっても人に対する好き嫌いはあるのですよね。
認知症だからって、なにも感じないわけではないのですよ。
これからみんなと朝ごはんなのよ~
穏やかにしようよ~
ショッパイ空気の中、職員の小松さんには外れてもらって利用者さんたちと朝ごはんを食べました。
もちろん、タツオさんも一緒に朝ごはんです。
朝ごはんを食べているころには、タツオさんはいつものタツオさんになっていました。
しばらくして、タツオさんは他のグループホームへ移動しましたが、もしかしたら事件に発展していた可能性もありましたよね。
グループホームに勤務する職員は、認知症に対する介護のプロですから、一緒になって睨み合っていてはなんの解決にもなりませんよね。