認知症が進行し、暴力をふるうようになった利用者さんへの対応。
認知症の利用者さんには、いろいろなタイプの方がいます。
なんども同じ話をする人。
徘徊して家に帰れなくなる人。
食事をしたことを忘れてしまう人。
物盗られ妄想のある人。
家族のことも分からなくなる人。
大声を出す人。
暴力をふるう人。
暴力的な認知症高齢者の方には、暴力をふるう理由があります。
しかし、その理由を理解することは容易なことではありません。
あるディサービス事業所で、認知症のある利用者さんを入浴介助していたときのこと。
身体的には問題ない方なのですが、自宅でも普段から入浴はしたくないと言って、しばらく入浴をしていませんでした。
家族は、ディサービスで入浴してきてほしいと思っています。
入浴の時間以外は、静かに過ごしている方なのですが・・・
ディサービスの脱衣室まで来ると、落ちつきがなくなってきました。
介護職員が衣服を脱がせようとすると、こぶしを振り上げ頭を殴りつけたのです。
高齢といえども、かなりの力でした。
殴られた介護職員の頭には、たんこぶができたほどです。
それを近くで見ていた主任の小林さん。(仮名)
認知症の利用者さんの腕をつかみ、平手でなんども腕を叩いたのです。
「叩かれたら痛いでしょ!!」
その後、数人の介護職員によって衣服はすべて脱がされ、入浴することはできたのですが、このディサービスの主任のやり方は、専門職としてはいかがなものでしょうか。
おそらく、腕を叩かれた事実や入浴したことは忘れてしまうであろう認知症の利用者さん。
何人もの介護職員に拘束され、服を脱がされて、恐怖心でいっぱいだったかもしれません。
何が起こったのかは忘れても、その恐怖心は残っているかもしれません。
ますます、お風呂が嫌いになってしまいそうですね。
認知症の利用者さんが、どうしても暴力がおさまらないのであれば、家族に精神科の受診を勧めてみてください。
薬がうまく合えば、暴力がおさまるかもしれません。
認知症の利用者の腕を叩いた主任さん。
他の職員は主任が暴力をふるったことには、何も疑問を持ちませんでした。
だって、ディサービスの中では一番エライ人だもの。
経験の浅い介護職員は、「そんなものかな。」と思ってしまったかもしれません。
けっして、介護職員が利用者さんを叩いたり威圧的に介護をしてはいけません。
それは虐待にあたります。
しかし、自分の身も守らなくてはいけないことを、介護職員の皆さんは忘れないでくださいね。
あんなにやさしそうな人が、高齢者を叩いたりするのかい?
ほとんどの介護職員はやさしい人ばかりですから大丈夫ですよ。
「認知症の利用者さんが暴力をふるうかもしれない。」
危機感をもって、自分の身を守りながら、あたたかい介護を心掛けたいものですね。