介護に正解はないのだ

介護分野で勤務し20年。自宅で介護をしている方や介護職員のみなさんに、役に立つ情報を発信していきま~す。

介護保険の認定を受けている65歳未満の人が、障害福祉サービスを使うということ。

介護保険障害福祉サービスはどちらが優先となるか。

介護保険」と「障害福祉サービス」の中には、同じようなサービスがあります。

どちらも利用できる利用者さんは、原則介護保険が優先となります。

例えば、訪問介護を利用してヘルパーさんに身体介護や生活援助の支援を受けるサービスは、介護保険にもあるし、障害福祉サービスにもあります。

障害者手帳を持っていて介護保険の認定を受けている人は、ヘルパーさんに来てほしいと思った時には、介護保険を優先して利用します。

しかし、40歳~64歳までの利用者さんの中には、介護保険の認定を受けていても障害福祉サービスが優先されることがあります。

介護保険について | 福岡県医師国民健康保険組合

私たちは40歳になると介護保険料を毎月納めていますが、中には納めていなくて介護保険が利用できない人もいます。

また、40歳~65歳未満の人が介護保険を利用する場合は、国で決めれた特定疾病でなければいけません。

40歳~65歳未満の人で特定疾病ではなくて障害者手帳を持っている人は、障害福祉サービスのみの利用となり、65歳になると介護保険を優先して利用することになります。

f:id:haru-mm:20200915093721p:plain

脳出血の後遺症で寝たきりの愛子さん(仮名)42歳。

愛子さんは39歳の時に脳出血となり、1年ほど入院してリハビリをしていました。

40歳になって介護保険を申請。

要介護認定イラスト/無料イラストなら「イラストAC」

愛子さんは会話はできるけれど、手足がほとんど動かない重い後遺症が残ったため、介護保険の認定は1番重い「要介護5」と判定されました。

要介護5の人の場合、介護保険では362,170円まで介護サービスの利用が可能です。

利用した介護サービスの料金のうち、決められた負担割合の分を本人が負担するのですが、愛子さんは独身で身寄りもなく、仕事もしていなかったので生活保護を受給中。

介護保険料は支払ったことはないけれど、生活保護を受給し特定疾病の「脳血管疾患」に該当するので介護保険の利用ができます。

本人の負担割合はなく、すべて公費で支払われます。

愛子さんは、入院している病院の医療ソーシャルワーカーと相談し、退院後はサービス付き高齢者向け住宅に入居することになりました。

サービス付き高齢者向け住宅は、必要な介護サービスを自分で選択して生活する施設です。

1人では起き上がることも自分でご飯を食べることもできない愛子さんは、訪問介護を利用して介護保険の限度額いっぱいヘルパーさんに来てもらうことにしました。

f:id:haru-mm:20211110092823p:plain

ところが、同時に開始した訪問診療の医師より、訪問看護と訪問リハビリ、訪問入浴の利用を勧められたのです。

訪問看護と訪問リハビリ、訪問入浴を利用することによって、ヘルパーさんに来てもらう回数を減らさなくてはならなくなりました。

これでは、日常生活に支障があります。

愛子さんは身体障害者手帳は1級です。

そこで、ケアマネジャーが行政の障害福祉サービスの担当者に相談したところ、なんと愛子さんの場合はそもそも障害福祉サービスが優先になるとのこと。

介護保険の認定は受けているけれど、生活保護受給者で負担割合がない愛子さんは、65歳になるまでは障害福祉サービスを優先して使えるのです。

私は62歳。介護保険は1割負担だよ。生活保護を受けているけれど、障害福祉サービスが優先かい?

その場合は介護保険が優先になります。

生活保護を受けている人でも、介護保険の負担割合のある人は介護保険が優先となりますから、よく分からない法律ですよね。

愛子さんは障害福祉サービスの申請をして、訪問介護の分は障害福祉サービスが利用できるようになりました。

これによって、障害福祉サービスにはない訪問看護と訪問リハビリ、訪問入浴は介護保険が利用できますので、当初の予定よりかなり多くの介護サービスが利用できることになったのです。

日本の制度は申請主義ですから、知らないと損をすることが多いように感じます。

分からないことは介護保険障害福祉サービスに詳しいケアマネジャーや病院の医療ソーシャルワーカー、または行政の窓口に相談しましょう。